世界のモデルとなる移民国家像の創作を目ざして

坂中提案

2005年の『入管戦記』(講談社)の第10章(「小さな日本」と「大きな日本」)において、「日本が世界のモデル国となる」と題し、次のように述べた。

〈人口の激減が国家・社会全般に計りしれない影響を与えることは間違いない。人口が増加から減少へ転換する2000年代初期の日本は、明治維新、第二次世界大戦後の大変革に匹敵する根本的な制度改革を迫られる。人口減少時代の到来を契機として、日本人の生き方、日本国の民族的構成、社会経済制度などを根本から見直し、「新しい日本」に生まれ変わらなければならない。〉

〈人口減少問題はヨーロッパの一部の国ですでに経験しているところであるが、日本ほど事態が急激に進み、問題の深刻な国は世界に例を見ない。この問題を考えるに当たっては、モデルとなるような国は存在しないといわなければならない。したがって、日本が世界の先頭を切って、人口減少時代の国のあるべき姿を検討し、その未来像を示さなければならない。日本国の決める人口減少社会への対応策が、未来の世界によい先例を開くものであってほしいと願うものである。〉

いま改めてこのくだりを読み返してみて、これは役人生活をおえて新しい人生を歩むにあたっての決意表明であると思った。私は問題提起を行った責任をはたすため、2005年8月、世界のモデルとなる移民国家像の創作を目ざして外国人政策研究所(現在の移民政策研究所の前身)を設立した。そこに立てこもり、専門分野の入管政策を根本的に見直す作業を進め、10年の歳月をかけて日本型移民国家の理論体系を完成させた。

なお、人口増加時代につくられた政治・社会・経済・財政・社会保障などの各制度についての見直し作業は行われていない。人口崩壊の脅威が国家・社会全般に計り知れない影響を与えることは誰の目にも明らかになったにもかかわらず、勃興期の明治から平成のアベノミクスまで続く経済成長至上主義の日本のままである。

国家制度の抜本的改革に今すぐ着手しなければ、1000万人の移民を入れても、若年人口の激減によって3000万人の人口減は不可避である以上、生産・消費・税収・財政・年金・社会保障・安全保障・教育・国民生活のすべてが立ち行かなくなると、関係当局に対して警鐘を鳴らし続ける。

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