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一人で天下を動かす壮挙に打って出る

2012年10月、保守の典型と自他ともに認める元東京入国管理局長が革命家になった。在日米国人ジャーナリストが、『ジャパンタイムズ』の「移民が日本を救う」という記事の中で、坂中英徳を「革命家の顔:元法務官僚、元東京入国管理局長」と世界に紹介した。

48年の職業人生において実に多くの別名をもらったことに驚く。1975年に書いた『今後の出入国管理行政のあり方について』という題の論文が「坂中論文」と呼称されたことに始まり、「救世主」「鬼の坂中」などの異名をつけられた。それら以外にも、2005年刊の『入管戦記』の帯は「ミスター入管」「反骨の官僚」と読者に紹介した。外国人ジャーナリストからも数々のニックネームをつけられた。

2009年1月の『ワシントン・ポスト』は坂中英徳を「移民政策のエキスパート」と世界に紹介した。2014年5月、日本外国特派員協会で講演した際、同協会幹部は冒頭のあいさつで「坂中英徳氏は『ミスターイミグレーション』として知られている」と紹介した。

また、私が提唱する移民国家ビジョンに関し、次のような「短い言葉」による感想が寄せられている。「憲法改正以上の難事業」(都議会議員)。「壮大なユートピア計画」(全国紙の記者)。「和を尊ぶ日本の伝統的精神風土から生まれた発想」(日本仏教学の権威)。「人類社会を永遠の安寧秩序に導く平和の使徒」(在日パキスタン人)。「人類共同体思想は人類史を画する提言」(在日韓国人)。

「これからの時勢はもはや決死剽悍の暴勇だけでは間に合わぬ。一人で天下を動かす気概と智恵が必要だ」(司馬遼太郎『竜馬がゆく』)。1864年に起きた蛤御門の変のあと坂本龍馬が同志に語った言葉とされる。

鎖国か開国かで国論が沸騰した幕末から明治にかけては天下国家のことを考える英雄豪傑が活躍した。坂本龍馬以外にも、海外事情に明るい勝海舟がいた。開国を決断した井伊直弼がいた。黒船で米国への密出国を企てた吉田松陰がいた。江戸城の無血開城を決断した西郷隆盛がいた。

古今東西の歴史書が雄弁に語るように、国家的危機の時代には偉大な指導者が現れるものである。しかるに国家制度の全面崩壊が迫る平成時代には国民が移民鎖国か移民開国かの激論を戦わすことがないのか。1億2800万人の国民は空前絶後の国家的危機に打つ手がないと白旗を掲げて降参したのか。ここに「降参してはならない。智恵を絞れば打つ手がある」と主張する日本人がいる。

国家存亡の秋に沈黙を決め込む政治家・官僚・知識人が大半を占める当代にひとり私は、「前例のない国難に前例のない革命で」と国民に決起を呼びかけている。四面楚歌の状況下で孤独の闘いを強いられている坂中英徳には「一人で天下を動かす気概と智恵」が求められるのだろう。

そのことは重々承知している。だが、私に国を動かす器量がないことも痛いほどわかっている。悩みは尽きない。しかし、当代の日本人の中から難局を乗り切るための妙案を思いつく知恵者が現れないと、日本民族と日本社会は自然消滅の道をまっしぐらということになる。

悪戦苦闘の連続の入管生活で学んだことがある。おそれをなして誰も手を付けようとしない難問題にいどめば成功する確率が高いということである。入管時代まけいくさは一度も経験していない。世界に冠たる移民国家の創建は実現不可能な計画のように映るかもしれないが、私なりの勝算があっての挑戦である。

機が熟したと判断するミスターイミグレーションが天下を動かす壮挙に打って出る。1億2800万人の日本人の中から暴勇に共鳴する国士が大挙して立ち上がる可能性に日本の国運をかける。