タブーへの挑戦は栄光への道

坂中提案

法務省時代、それは意図したわけではないが、人のやらないことばかりやってきた。在日韓国・朝鮮人問題にはじまり、北朝鮮帰国者問題、興行入国者問題など、誰も手をつけない難題と取り組んだ。それが幸いした。競争相手が不在で私の独り舞台であったから、自由自在の活躍ができた。

退職後は移民政策研究所を設立、移民国家の創建に挑んでいる。これは日本最強のタブーとの闘いである。そして2017年現在。米国、フランスなど移民先進国が人種差別と排外主義に向かう中、日本型移民国家の理念を打ち立て、人類共同体社会の創造という世界的課題にチャレンジしている。

これまで、問題を発見し、政策論文を書き、立法など政策の実現に努めてきた。しかし、国民の圧倒的多数は、在日コリアンの問題や移民の問題には無関心だった。それどころか、一部の人々から猛烈な攻撃を受けた。1970年代は、在日コリアンから「冷酷な官僚」とののしられた。2017年の今は、ヘイトスピーチグループから「売国奴」と罵声を浴びている。

どれもが難問中の難問であったから、問題の解決に気の遠くなるような年月がかかった。北朝鮮にいる日本人妻の帰国問題は、半世紀以上の時を経て解決の方向がかすかに見えてきた。移民国家の建設については、人口崩壊という国家存亡の危機が深まった結果、政治課題に浮上し、超党派で政治的合意が成立する可能性が出てきた。

私の個人的体験から言えることは、人が恐れをなして忌避する問題と勝負すれば、勝利をおさめる確率が高いということである。決してあきらめることなく信念を貫けば不可能を可能にする道が開ける。タブーへの挑戦は栄光への道である、と私は考えている。

« »