タブーとの闘いの人生に終止符を打ちたい

坂中提案

 公務員人生を振り返ると、人のやらないことばかりやってきたように思う。在日韓国・朝鮮人問題にはじまり、北朝鮮帰国者問題、興行入国者問題などの難題と格闘してきた。まさに「入管戦記」の時代を駆け抜けた。変わり者・無鉄砲・型破りの役人であった。

 退職後も懲りずに移民国家の創建に挑戦している。これは1000年以上続く移民鎖国という日本最大のタブーとの闘いである。

 だれもが恐れをいだいてさわろうとしない問題に真っ向から勝負を挑んでよかったと思うことがある。私の独壇場であったから、自作自演で心のままに演ずることができた。白紙に好きな絵を好きなように描けた。

 決していいことばかりだったというわけではない。問題の解決に当たって世論の支持を得ることができなかった。問題を発見し、政策論文を書き、立法など政策の実現に努めたが、国民の圧倒的多数は外国人の問題や移民政策には無関心であった。逆に、一部の人びとから猛烈な反発や攻撃を受けた。39年前は冷酷な官僚と罵倒され、今は売国奴とののしられている。

 どれもが難問中の難問であったから、問題の解決までに気の遠くなるような年月がかかった。北朝鮮にいる日本人妻および北朝鮮残留邦人の救出は、半世紀以上の時を経てようやく解決の糸口が見えてきた。移民国家の建設については、人口危機という有史以来の国家的危機に直面し、ようやく移民鎖国の禁忌が破られ、いま歴史的な国民的議論が始まろうとしている。

 さてこれから何をしようか。私に残された時間は少ない。やり残した二つの仕事に集中する。北朝鮮で助けを待っている高齢の日本人妻らの帰国問題と、日本の生き残りがかかる移民立国の問題の決着をつけたい。そしてタブーとの闘いの人生に終止符を打ちたい。

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