なぜ日本で移民政策が政治の争点にならないのか?

坂中提案

持続可能な社会保障制度のあり方と地方創生は政治の主要な争点になっている。しかし、それらの問題の根底にある人口崩壊の問題と、人口問題の最有力の解決策である移民政策については、政治の争点にのぼっていない。人口危機が深まった今こそ政治の世界で移民国家議論を活発化させるべき時であるのに、各政党が移民政策を公約に掲げることはない。

今日、米国、英国、フランスなど世界の主要国において移民政策の是非が国を二分するほどの選挙の争点になっているというのに、日本の国会では移民開国の是非についての議論すら行われていない。こんな体たらくが続けば、将来の歴史家から平成の政治家の無責任体質が告発されると警鐘を鳴らしておく。

与野党を問わず、日本の政治家は、日本の生死がかかる移民開国に対して及び腰である。傍観者の立場に終始してきたと言わざるを得ない。「票にならないから移民政策については議論しない」ということで政治家の間で暗黙の合意が成立しているのだろうか?移民開国の問題を政治の俎上にのせないという一点で政界は一致団結しているように、移民政策の動向を長年ウオッチしてきた専門家の目には映る。

天下国家のことを考えるのは政治家の仕事である。政治家がやらずして誰がやるのか。言うまでもなく移民国家という新しい国家の建国は内閣総理大臣の大権に委ねられる。移民の受け入れに賛成の世論が高まっているのにもかかわらず、異なる民族に対する包容力のない最高権力者が移民開国の決断を躊躇すれば何も決められない政治の典型として日本政治史に汚点を残す。そればかりか、「平成の政治指導者は日本の未来に対する責任を放棄した」と、将来世代から指弾を受けるのは確実である。

平成天皇の御代に、世界の移民政策をリードする志があり、日本オリジナルの移民国家ビジョンを世界の人々に示し、日本の人口崩壊の危機と世界の移民・難民問題の危機を同時に解決する不世出の政治家が出現することを、私は首を長くして待っている。

« »