1. TOP
  2. 政策提言
  3. すべての民族は移民の末裔

すべての民族は移民の末裔

 移民反対派の人々の中には、日本が移民政策をとれば日本民族と日本文化の純粋性が損なわれると主張する人がいる。しかしそのような考えは根本的にまちがっている。日本民族も日本文化も純粋培養されたものではない。よその土地から入った人がまじりあって形成された混血者である。

 日本文化が多くの外国人に愛されるのは、世界の文化を取り入れて磨き上げたハイブリッド文化であるからだ。文化交流を重ねて洗練された日本文化は世界の誰もが賛美する普遍文化になった。

 異なる民族の血がまったく混じっていない純血民族は地球上のどこをさがしても存在しない。人類史はヒトの移住の歴史であった。ヒトは食を求めて生息地を広げ、その土地の気候風土に適応するとともに異なる民族間で結婚と混血を繰り返し、多様な民族に分かれた。

 今日、世界各国の国民に分かれて生活する各民族はすべて移民の末裔である。日本では平安時代からこのかた異民族の大量流入がなかったことに起因し、日本人は比較的純血度の高い民族といえる。しかしそれでも縄文時代から令和時代まで、縄文人や弥生人やアイヌなど世界各地から移住してきた民族の血が大量にはいりこんだ雑種民族であることに変わりない。

 話は飛躍し、千年後の人類社会を展望する。その時代は地球上から地理的・国家的・文化的障壁が完全になくなっており、異なる民族間の結婚と混血が地球規模で飛躍的に増加し、人類は一つの民族に収斂される方向に進んでいる。それは単一の種から多様な民族に分かれた人類のいわば先祖返りの動きであり、究極の雑種民族としての地球市民への進化の過程と位置づけられる。おそらくその時代よりもはるか前に、人類の叡智を結集して「人類共同体社会」と「核兵器のない世界」が実現しているであろう。