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いま世界で何が起きているのか

 コロナウイルス問題が深刻化する中、私が最優先で取り組むべき世界的使命は何か。反移民勢力が勢いを増す世界の危機的状況を鎮めることだ。世界の識者が「ミスターイミグレーション」「救世主」と呼ぶ坂中英徳が先頭に立ち、世界各地で燃え上がる人道危機に立ち向かう。

 反移民のキャンペーンを張ったトランプ大統領時代の米国。移民問題が主因でEUから離脱した英国。パリが2回のテロ攻撃を受けて自由・平等・博愛の精神が影を潜めつつあるフランス。ドイツのメルケル首相はEUの移民政策をリードしてきた偉大な政治家であるが、反移民の右翼政党が勢力を伸ばし、退陣を余儀なくされた。メルケル後のドイツはどこに向かうのだろうか。

 2019年3月、ニュージィランドで痛ましい事件が起きた。オーストラリア人が51人のイスラム教徒を銃殺した。犯行声明の中で「白人社会に白人以外の人間が入ってくるのは許さない」と言っていた。その男はイスラム教徒を狙い撃ちで殺害したからレイシズムの考えの持ち主である。

 コロナウイルス問題の終息の目途が立たない暗黒時代、欧米の移民大国は常軌を逸した人種差別・宗教差別の方向に暴走しているかのように見える。このまま行ったら世界の移民政策はどうなるのか、私は世界情勢を深刻に受け止めている。

 米国は独立宣言でアメリカに憧れて移住してくる人を歓迎すると約束した。それを国是としてきた。「アメリカは人種のるつぼ」とも言われてきた。しかし、21世紀の今も白人至上主義者と黒人至上主義者とが死闘を繰り広げている。米国社会の分断と黒人差別の根深さに驚きを禁じ得ない。さらには2022年の現在、新型コロナウイルスの蔓延をきっかけに全米で中国人差別が目立つようになった。さらには世界各地で西洋人と中国人の激突の恐れすらあると非常に心配している。

 かつての私は第二次世界大戦後の人類は人種問題を克服したと楽観的に見ていた。しかし、21世紀の今こそ「人種」と「レイシズム」の問題が噴出した時代であり、世界で頻発している人種差別の嵐を直視しなければならないと考えを改めた。のみならずそれが人類の命取りにつながりかねないと恐怖感に襲われる日々である。

 世界全体を見渡すと、人種や移民政策を理由とするヘイトクライムが続発している。世界に漂う異様な雰囲気は、ヒットラーがヨーロッパを席巻した第二次世界大戦前夜の空気とかなり似ていると感じる。欧米社会において自分たちの属する人種・民族・宗教が絶対的で正しいと考える人たちが増加傾向にあると憂慮する。異なる民族間・宗教間の紛争や内乱も頻発している。

 2022年現在の世界情勢を概観すると、人類は新型コロナウイルスの猛威に襲われている。世界各国は非常事態宣言を発している。人の出入国管理を強化し、国境を封鎖する方向に向かっている。甚大な犠牲者を出した第二次世界大戦の深刻な反省に立って人類が築いた国際法秩序の瓦解の日が近いと予感する。世界経済が被る被害も甚大で、1929年の世界大恐慌以上の経済秩序の崩壊に発展する恐れすらあると感じている。

 。今こそ全人類が心を一つにし、人類運命共同体の理念を掲げて立ち上がるときである。これは和の心と寛容の心が詰まった日本的精神から生まれた平和哲学である。ただしそれは日本的感性の持ち主にしか理解できない思想というわけではない。人種、民族、宗教を問わずすべての人々が容易に理解できる普遍的概念である。

 英語論文集「Japan as an Immigration Nation」の著者に世界の移民政策を刷新する使命が下されたと時局を認識する。私は英文図書を武器に真心を込めて移民を歓迎することの必要性と緊急性を世界の良心に訴える。