『JAPAN AS AN IMMIGRATION NATION』の人類史的意義

「夢を描かなければ実は結ばない。大きな夢を描けば大きな花が咲く」。これは自分を元気づけるために作った金言である。もっとも年とともに夢がふくらんだから夢をつかまえるのがますます困難になった。
そんな私は至福の時を過ごしてきたと言えるのだろうか。必ずしもそうとは言えない。国家公務員を辞した後の16年間。遠大な国家目標の重圧に押しつぶされそうになり、夢を追い求める人生にピリオドを打ちたいと思う時があった。理想に立ちはだかる現実と妥協すればどれほど気が楽になるかという危険な考えが頭をもたげる時もあった。
しかし、この5年ほどは勝負の時だと判断し、入魂の論文を書き続けている。その代表作が『JAPAN AS AN IMMIGRATION NATION』である。
私の究極の夢である人類共同体社会の創造は、世界の恒久平和を願う人類の悲願である。未来永劫にわたり世界の知性がチャレンジするだろう。願わくは唯一の戦争被爆国の日本の若者がその先頭集団を走ってほしい。人類の全滅をもたらしかねない大量核兵器の存在が現実の脅威となる時代に入り、人類共同体社会の成否に人類の生死がかかることになった。それを坂中英徳の一場の夢にすることは人類の良心が許さないだろう。
日本の移民政策研究所の所長から人類総員への衷心よりのお願いがある。悠久の人類史で蓄えた各民族の英知を結集し、あまたの戦争の歴史から真摯に学び、かつ「人類は同種で同胞」の原点に立ち返り、人類総がかりで人類共同体社会の創造に向かって前進してほしい。