『坂中英徳 マイ・ストーリー』

2019年9月から2020年の5月にかけて、自叙伝・「坂中英徳 マイ・ストーリー」(2020年5月、移民政策研究所刊)を完成させるのに執念を燃やした。そして起伏に富んだ50年の論文人生を次のとおり総括した。
①1200年も移民鎖国の境遇に安住してきた日本人の心を移民歓迎の心に切り替えるのは困難を極めたこと。②日本の精神風土に根ざした移民国家をつくる構想力を持つ日本人は坂中英徳以外にいなかったこと。③移民政策のことしか頭にない単細胞の人間が深く掘り下げた理論を構築したこと。④政策論文を書くことの責任の重さが身に染みてわかったこと。⑤ひとりの民間人が背負った責任でこれ以上の重いものはないこと。⑥移民鎖国主義という強固なる日本精神をくつがえしたこと。⑦人類史を画する人類共同体ビジョンを打ち立てたこと。⑧日本型移民国家ビジョンの持つ独創性を世界の知性が評価したこと。⑨世界の移民政策の歴史に輝く英文作品:「Japan as an Immigration Nation」を出版したこと。⑩独創的な論文に始まり独創的な論文で終わる人生を全うしたこと。⑪日本人の誰もが実現は不可能と冷ややかな態度で見ていた壮挙に実現の可能性が出てきたこと。⑫政治家が職責を果たさない中、国民の総意ではなく坂中英徳の独断専行で令和革命を成し遂げることになれば日本の将来に禍根を残すこと。
私の半生を一言でいえば、50年間にわたり移民政策研究に打ち込んだ日本人が瀕死状態の祖国の再生に立ち上がり、移民国家理論の最高峰を目指したということである。最近、『入管戦記』(講談社、2005年)を筆頭に坂中移民政策論文集の大半を読破した友人から、「やりがいのある仕事が満載の人生を楽しんでいる」と言われた。自分では悪戦苦闘の連続の人生と思い込んでいたが、そのような一面があると聞いてなるほどと思った。私の仕事を身近で見てきた知友たちの目には「ロマンを追い求める人生を満喫している」と映るのだろう。