「移民」という言葉が市民権を得た

坂中提案

今日、日本の学者や研究者やメディアの間で「移民」という言葉が市民権を得たようだ。近年、「移民」や「移民政策」と銘打った論文、著作が多く見られるようになった。ここ最近のインターネットの世界では「移民」が堂々と主役に躍り出たと実感する。

私はこの8年、もっぱら、移民,移民政策、移民革命、移民国家、日本型移民政策、日本型移民国家、育成型移民政策、移民1000万人などの用語を使って文章を書いてきた。

反対に、研究者の書く論文において「外国人労働者」という言葉の使用頻度が急減したと感じる。それは当然である。外国人労働者という概念をもってしては、日本の研究者の最大関心事である「多文化共生」が論じられないからだ。

外国人労働者(外国人技能実習生を含む)は、産業界が労働力不足を補うため雇用するもの、期間限定の低賃金労働者として酷使するものという性格が強い。本質的に日本人と共生する外国人でも将来の国民でもない。

社会の一員で日本に永住する存在の「移民」の受け入れによって初めて、「日本人と外国人との共生」や「多文化共生」を語ることができる。

ドイツは、第2次世界大戦後一貫して、労働力不足を補う目的で、外国人労働者として外国人を受け入れてきた。しかし、優秀な外国人材を獲得する必要に迫られ、2005年に「移民国家宣言」を行った。以後、ドイツ政府は外国人の定住支援の一環としてドイツ語教育に力を入れている。

2010年11月、私はドバイで開かれた世界経済フォーラム主催の「移民に関する世界有識者会議」に出席した。3日間の会議では「Migration」「Immigration」という言葉がもっぱら使われ、「Foreign Labor」「Guest Worker」という言葉は聞かれなかった。

「移民政策」が外国人の正しい受け入れ方法であることは世界の有識者の常識になっていることを国際会議で知った。

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