「小さな日本」の場合の移民政策を語る

坂中提案

『入管戦記』(講談社、2005年)の第10章(「小さな日本」と「大きな日本」)において「小さな日本」を選択した場合の移民政策について論述している。そこに私の移民政策論の原風景が色濃く残っている。まだ「移民」という言葉を使うのがはばかれた時代の論文である。

今の私は移民1000万人構想を提唱しているが、基本的な考えは8年前のそれとほとんど変わっていない。以下に、前述の論文のエッセンスの部分を再現する。

〈縮小してゆく「小さな日本」を国の基本方針とする場合、人口動態の急激な変化に対応できない国の基幹部門や国民生活を支える基本制度の人材不足にどう対応するかという重大問題に直面することになろう。この問題については、先決問題として、国内において人口減少社会に対応するための徹底した産業構造改革による人材の再配置と、高齢者および女性の雇用の拡大などによって、必要な労働力を最大限に確保するよう努めなければならない。あらゆる努力を尽くしたうえで、なお人材が足りないと認められるときに、縮小社会の実現に欠かせない厳しい入国管理政策の例外として、国民の生活基盤の維持に必要な最小限の外国人を受け入れるという選択肢はありうるだろう。〉

〈たとえば、介護要員のすべてを日本人でまかなうことが困難な状況に至り、本来は日本文化をよく理解する人でなければ難し介護の仕事を、あえて外国人にお願いしようという国民世論が高まるかもしれない。〉

〈日本の歴史遺産ともいうべき水田・森林が深刻な後継者難で荒廃する事態を放置し、人口激減で存亡の危機にある農山村社会を見放すわけにはいかないであろう。食料・資源の確保の必要のみならず、国土・環境を保全し地域社会の存続を図る見地から、農林業の分野に外国人を入れることについては、国民の理解が得られるかもしれない。〉

〈人口急減への緊急対策として受け入れる外国人は、日本国の構成員(日本国民)になるべき人、すなわち「移民」と位置づけるのが望ましい。いわゆる出稼ぎ労働者として処遇するよりも、将来の日本国民として相応の法的地位と待遇を保障するほうが、日本に骨を埋める決意の有為の人材をより多く確保できると考えられるからだ。〉

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