1. TOP
  2. 政策提言
  3. 「単純労働」という言葉は差別用語である

「単純労働」という言葉は差別用語である

日本のジャーナリズムの世界において外国人材の受け入れとの関係で「単純労働」という言葉が大手を振って闊歩している。彼らがそのように見なしている職業に従事している外国人や日本人の心を痛く傷つける「差別用語」であることに思いが至らないのか。

産業史をさかのぼると、狩猟採集時代、農耕時代、産業革命時代のいずれの時代も、人類は知恵をしぼって最善の産業技術を駆使して生き延びてきたと私は認識している。

新聞記者などは自分たちだけが高度の専門知識を必要とする職業に就いているとでも思っているのか。およそ人間の行なう仕事に貴賤も甲乙もない。たとえば、農林水産業は縄文時代から日本人が産業技術を継承・発展させてきた歴史的産業遺産である。自然の営みに感謝しながら食料を生産し、魚介を採り、樹木を育てるもので、日本人の叡智のかたまりの尊い産業である。このような第一次産業のなりわいをあたかも価値の低いもの、いわゆる単純労働とみなすのは土台まちがっている。それは先祖代々の日本人が引き継いできた万物有魂論の自然観に反し、日本の豊かな自然を冒涜するものだ。

日本人の心のふるさとが荒廃すれば日本人の心がすさむ。自然との共生思想が根底にある日本精神を子々孫々まで伝えるためにも、里山と里海に代表される「人間が自然に寄り添って生きる景観」を守る必要がある。後継者難の進行で日本の若者が総力を挙げてもそれが不可能ということであれば、世界から若手の有望株を「農業」や「漁業」の在留資格で受け入れ、速やかに「永住」を許可し、移民の地位を認めるしか農業と漁業が生き残る道はないのである。